【ライター望月の駅弁膝栗毛】
世の中はクリスマスみたいですね。
“いい子”にしていたお子さんのお宅には、赤い格好をしたちょっぴりふくよかな「あの方」が、中身がいっぱい詰まった袋を持ってやって来たかもしれませんね。
ハイ、我が家にも、赤くてぷっくりした感じの「アレ」がやって来ました!
もちろん、中身はギュッと詰まっていましたよ!!
我が家にやって来たのは、「たこ」!
ホラ、確かに赤くてぷっくりしているでしょう?
じつはコレ、駅弁の器なんです。
駅弁好きの方なら、どこの駅弁なのか、当然ご存知ですよね?
車窓に広がる瀬戸内の海を眺めながら、山陽本線の115系電車に揺られます。
山陽本線の姫路~岡山~三原間では、まだまだ国鉄世代の113系・115系電車が健在。
外観は黄色一色、車内は西日本エリアでは一般的な、背もたれの向きを変えて進行方向に向かって座ることができるシートに交換されていますが、その他は昔のまま。
懐かしさを憶える大きなモーターの音を響かせながら、山陽路を下って行きます。
この列車の終着は、山陽本線・三原駅。
三原駅には、山陽新幹線が停車し、山陽本線からは呉線が分岐しています。
駅前には「ようこそ たこのまち みはら」と書かれたモニュメントが…。
三原は、潮の流れが速く、瀬戸内でも有数のマダコの産地として知られています。
目下、ご当地ブランド「三原やっさタコ」として売り出し中なんだそう。
(参考)三原観光協会ホームページほか
そんな三原市内の糸崎駅前に拠点を置く駅弁屋さんが「浜吉(はまきち)」です。
名物は、当サイトでも1度ご紹介した、昭和28(1953)年発売の「元祖珍辨たこめし」。
販売開始から65年以上のロングセラー駅弁です。
じつはこの「元祖珍辨たこめし」、事前に「予約」すると、「浜吉」の直営店舗なら、可愛らしいたこ型の陶器に入った「陶器製」バージョンをいただくことも可能なんです。
【おしながき】
・たこめし
・たこの旨煮
・海老
・玉子焼き
・蓮根の旨煮
・栗の甘露煮
・付合せ
程よい柔らかさと、心地いいコリコリ感を一緒に楽しめる「浜吉」のたこの旨煮。
「タコって美味しい!」と初めて感じさせてくれたのは、「元祖珍辨たこめし」です。
「浜吉」によると、たこの柔らかさを出すため、“二度炊き”にこだわっているのだそう。
そして、ひと手間かかった玉子焼きと一緒にいただくのが、これまた美味しい。
彩りも華やかで、ふたを開けた瞬間から明るい気持ちになれます。
なお、冬場はこのたこ型駅弁を、受験生(やその親御さん)が買い求めることもあるとか。
たこは、英語で「オクトパス」。
そう、「元祖珍辨たこめし」のたこを我が家に「置くとパス(合格)」…というわけで、願掛けには最高の駅弁なのです。
山陽エリアにお住まい、ご縁のある受験生のご家族、御親戚の方、ぜひゲットしてみては?
山陽新幹線も、「こだま」号を中心に停車する三原駅。
ちょうど500系新幹線の上り「こだま」が入って来ました
新幹線ホームに北側には、三原城跡の天守台があります。
じつは三原駅、昔の城の真ん中に作られており、天守台へは駅のコンコースから入ります。
美味しいタコはもちろん、新幹線ウォッチングも楽しい三原駅です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/