広島駅「牛万年煮弁当」(1080円)~廃線から復活! 可部線・あき亀山駅へ行く

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

広島駅「牛万年煮弁当」(1080円)~廃線から復活! 可部線・あき亀山駅へ行く

227系電車・普通列車、可部線・上八木~中島間

山陽本線・横川(よこがわ)駅と、あき亀山駅(広島市安佐北区)の間を結ぶJR可部線。
全ての列車が山陽本線に乗り入れ、広島発着(一部は広島以東と直通)で運行されており、単線でありながら、日中は20分間隔のわかりやすいダイヤが組まれています。
特に可部~あき亀山間は、地元の熱意で、廃線から復活した区間。
全国のJR線で、いったん廃線になった区間が復活したのは、初めてのことです。

広島駅「牛万年煮弁当」(1080円)~廃線から復活! 可部線・あき亀山駅へ行く

あき亀山駅

終着・あき亀山駅前では、移転してくる広島市立安佐市民病院の建設が進みます。
現在はのんびりした雰囲気の駅前ですが、病院ができると、人の流れも生まれそうです。
駅前に大きな病院があるのは、通院はもちろん、見舞いに行くにも、とても有難い立地。
入院中の方も、病室から毎日決まった時間に復活した列車が行き交う様子が見えることで、退屈な気分が紛れて、自分自身の“復活”にも希望が持てるのではないでしょうか。

広島駅「牛万年煮弁当」(1080円)~廃線から復活! 可部線・あき亀山駅へ行く

旧・河戸駅舎

あき亀山駅から歩いて3分ほどのところには、「旧河戸(こうど)駅舎」があります。
平成15(2003)年12月まで可部線は、横川~三段峡間およそ60Kmを結ぶ路線でしたが、利用者の減少を理由に、可部~三段峡間は廃止されてしまいました。
この昔の可部線にあった河戸駅の駅舎が、地元の神社「伊勢社」に移設されています。
なお、神社の別名は、鉄路の復活に合わせて「ふたたびの宮」になっているそうです。

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キハ40形気動車・普通列車、かつての可部線・三段峡駅(2000年撮影)

昔の可部線は、横川~可部間は電化、可部~三段峡間は非電化区間でした。
元々は、広島と浜田(島根県)の間、山陽と山陰を結ぶ路線として期待されていましたが、国鉄再建のなかで工事が中止となり、本来の目的は果たせませんでした。
そのなかで、非電化区間だった可部~三段峡間が平成15(2003)年に廃線となり、そこから、およそ1.6Kmの区間を「復活」させるのに、14年の歳月がかかったというわけなんですね。

(参考)広島市、島根県浜田市ホームページほか

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牛万年煮弁当

鉄道も食文化も積み上げるのには、大変な努力と時間がかかります。
広島駅弁を手掛ける「広島駅弁当」には、高級仕出し部門の「あじろや」があり、一般駅弁の製造ラインとは異なる、修業を積んだ職人さんが1つ1つ手掛けている駅弁があります。
その1つが、「牛万年煮弁当」(1080円)。
パッケージにも「あじろや」のロゴが入り、茶色の高級感ある紙蓋が使われています。

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牛万年煮弁当

【おしながき】
・白飯
・牛肉の万年煮(国産牛、椎茸ほか) ゆりね
・玉子そぼろ
・ガリ
・広島県産レモン寒天

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牛万年煮弁当

国産牛をじっくりと芯まで味が染み込むように、甘辛く煮炒ったという牛万年煮。
全国各地で見られる牛肉駅弁とは一線を画したいという、老舗のこだわりが伝わってきます。
濃いめの牛万年煮と軽めの玉子そぼろを一緒にいただいていくと、心地よく箸が進む印象。
食後のデザートに、いまは尾道市の一部となった瀬戸田産レモンを使ったという寒天が入って、広島ならではの駅弁に仕上げられています。

なお、広島駅新幹線改札内は、今年(2019年)11月20日に大きくリニューアルされました。
一時中止されていたマツダの車の展示も、新幹線改札内に復活しています。
駅弁売り場も、新たに「廣島驛辨當」となり、「あじろや」ブランドを専用で取り扱うゾーンも設けられていますので、年末年始、広島方面へ帰省される方は要チェックです。

(参考)JR西日本ニュースリリース・2019年10月24日分ほか

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227系電車・普通列車、可部線・河戸帆待川~あき亀山間

全国的に苦境が伝えられるローカル線のなかで、可部線の復活延伸は明るい話題の1つ。
ただ、旧河戸駅周辺のみなさんは、廃線以前から電化を求めて粘り強く活動されていました。
平成6(1994)年の団体結成からでは、じつに23年の歳月をかけて、可部~あき亀山間に「電車」を走らせることを成功させたということになります。
間もなく復活3年、日本随一の鉄道への情熱を持った地域を、きょうも赤い電車が走ります。

(参考)広島市ホームページ

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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