新潟駅「くるまえびとさんまのすしあわせ」(1150円)~駅弁屋さんの厨房ですよ!(vol.20「新発田三新軒」編(3))

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【ライター望月の駅弁膝栗毛】

E653系電車・特急「いなほ」、白新線・黒山~佐々木間

新潟~酒田・秋田間で、1日7往復運行されている特急「いなほ」号。
年末年始(12/28~1/5)の繁忙期は、定期列車に加えて、「いなほ81号~86号」の6本の臨時列車が増発されています。
定期列車では指定席が満席でも、臨時列車では比較的指定を取りやすい傾向があります。
ただ、臨時列車は車内販売がないことも多いので、買い物は駅で済ませるのが賢明です。

(参考)JR東日本新潟支社ニュースリリース・2019年10月18日分

新発田三新軒・伊田社長

年末年始の帰省旅でも、忘れずにいただいておきたいのが、ふるさとの「駅弁」。
その駅弁製造現場にお邪魔して、さまざまなエピソードを伺っている「駅弁屋さんの厨房ですよ!」第20弾は、新潟の駅弁を手掛ける「株式会社新発田三新軒」を特集しています。
お話を伺っているのは、4代目の伊田研一(いだ・けんいち)社長。
今回、まずはお店が新発田にあった時代の話を聞いてみました。

新発田駅の風景

●立ち食いそばもクレープもやっていた「新発田」時代

―昔、新発田駅ではどんなことをやっていたんですか?

新発田駅では、(新潟駅と共に)立ち食いそば店をやっていました。
あと、私自身が担当していたんですが、喫茶店「サン」もやっていて、テナントの本屋さん「きーわーど」と合わせた建物を「ジュネス」と言いました。
私自身、初めての飲食で、とても不安でした。
主なお客様は女子高生で、スパゲティが中心、クレープも自分で焼いたりしていました。
パフェも多数そろえ、ソフトクリームも10種類、種類の違う味を重ねたソフトが人気でした。

 

―当時はどんな駅弁を作っていましたか?

「(特撰)越佐弁当」が主力でした。
私が入ったころの「越佐弁当」は、漬物が多かったり、揚げ物ばかりといった幕の内でした。
最初の大きな仕事は、この弁当のリニューアルだったと記憶しています。
あと、「新発田三新軒」には、日本海縦貫線を走る特急列車への駅弁積み込みという大きな役割がありました。

485系電車・特急「白鳥」、東海道本線・大阪駅(2001年撮影)

●日本海縦貫線の車販拠点・新発田駅

―いまの「いなほ」や、昔、大阪~青森間を走っていた「白鳥」といった特急列車ですね?

当時、新鉄構内営業の鶴岡営業所がありました。
ここのスタッフが鶴岡から新発田にかけて、上りの特急「いなほ」などに乗り込んで、「酒田弁当販売」(注)さんの弁当を持って、車内販売を行っていました。
新発田で下車した後、新発田三新軒で休憩しながら、下り列車へは、新発田三新軒の駅弁を積み込む準備を行っていました。

(注)酒田弁当販売…2000年代初めまで、羽越本線・酒田駅で駅弁を販売。「ササニシキ弁当」「鳥海釜めし」などの駅弁があった。

 

―新発田ではいつごろまで商売をされていたんですか?

本社が新潟に移っても、新発田駅では立ち食いそばのお店は続けていました。
ただ、食材を運び込む手間の割に収益がいまひとつで、やむなく閉店することになりました。
私が「新発田三新軒」の経営に関わるようになったこの25年あまり、本当に激動でした。
新発田を閉めて本社を移転、新潟も閉めてまた移転…。
しかも、それぞれ営業しながらの引っ越しだったので、とても大変でした。

鯖威張る寿司(平成18(2006)年撮影、現在は販売終了)

●遊び心あってこその「駅弁」!

―伊田社長が経営に携わって25年あまり…結構、「だじゃれ駅弁」が増えましたよね?

「まさかいくらなんでも寿司」のときは、当時のNREの社長さんが、東大の落語研究会出身だったこともあってか、「だじゃれ」のネーミングをとても気に入って下さいました。
新聞記事などでも紹介して下さったと記憶しています。
若い方はあまり反応しないんですが、年配の方のほうがリアクションはいいですね。
じつは私も「だじゃれ」大好きで、そのあともいろいろシリーズを出しているんですよ。

 

―特に印象深い「だじゃれ駅弁」、ありますか?

新潟県中越地震の翌年、JR新潟支社で復興感謝キャンペーンを行うことになり、何か面白いことをやってやろうと出したのが、価格540円の「ご支援感謝弁当」という弁当です。
「何でそんなに安くできるんだ」と云われましたが、じつはこの弁当、弊社の他の弁当のラインナップから、少しずつ持ち寄って作った弁当で、他に仕入れが要らなかったんです。
掛け紙の裏に「○○は●●弁当から」と全部書いたら、おかげさまでとてもよく売れました。

くるまえびとさんまのすしあわせ

―「だじゃれ駅弁」にこだわるのは、どうしてですか?

「だじゃれ駅弁」には、正直賛否両論いろいろありますが、100人に1人でもウケてくれたらいいかなと思っていて、新潟競馬場の夏競馬で弁当を手売りするときも、「だじゃれ駅弁」はお客様の目をよく引くんです。
やっぱり、駅弁と他の弁当の何が違うのかと訊かれたら、「付加価値とか、遊び心があるのが駅弁」だと思っていますので。

(株式会社新発田三新軒・伊田研一社長インタビュー、つづく)

くるまえびとさんまのすしあわせ

【おしながき】
・酢飯(新潟県産)
・くるまえび
・酢〆炙りさんま
・わさび菜
・錦糸玉子
・ガリ

くるまえびとさんまのすしあわせ

現在も販売されている“だじゃれ駅弁”の1つ「くるまえびとさんまのすしあわせ」(1150円)。
新発田三新軒オリジナルの酢飯の上に、ピリッとしたわさび菜とふんわり錦糸玉子を敷いて、その上にくるまえびと酢で〆られた炙りさんまが一面に載ります。
この華やかな彩りと、炙りさんまの焦げめが目に入れば、一気に食欲がそそられます。
確かに幸せな気分になれる、“すしあわせ”の名に偽りなしの駅弁です。

電車・特急「しらゆき」、信越本線・荻川~さつき野間

かつて、新発田三新軒の駅弁が販売されていたという日本海縦貫線の特急列車。
現在は大阪~金沢間が「サンダーバード」、金沢~上越妙高間が北陸新幹線「はくたか」、上越妙高~新潟間が「しらゆき」、新潟~秋田間が「いなほ」、秋田~青森間が「つがる」として運行され、第3セクターを介して直通するのは貨物列車くらいとなっています。
「駅弁屋さんの厨房ですよ!」新発田三新軒編、次回はお米など、食材の話を伺います。

連載情報

ライター望月の駅弁膝栗毛

「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!

著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/

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