7年に一度だけ逢える! 信州・諏訪の御柱祭と「あの駅弁」
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
この2年あまり、全国の伝統的な祭りが感染症の流行に伴って自粛に追い込まれました。ようやく2022年に入って規模を縮小しながらも復活を果たしてきています。信州・諏訪で7年に一度行われる諏訪大社の「御柱祭」は、名物の木落しが中止され、伝統の御柱もトレーラーによって運ばれましたが、開催にこぎつけました。祭が開催されたことによって、御柱祭のときだけ販売される「あの駅弁」にも、お目にかかることができました。
中央本線の特急「あずさ」が、終着・松本を目指して諏訪湖の畔を進みます。今年(2022年)、この地域では「御柱祭」が行われています。平安時代初期から約1200年にわたり、7年に一度、寅年と申年に行われてきた諏訪大社最大の神事「式年造営御柱大祭」。諏訪大社は、国内最古の神社の1つと云われており、いわゆる本殿がなく、上社本宮、上社前宮、下社秋宮、下社春宮の4つの境内地から成り立っています。
(参考)諏訪大社公式サイト、諏訪地方観光連盟ホームページほか
御柱祭と聞いて思い出すのは、何と言っても、御柱を山から里へ運ぶ「山出し」の木落し。私も18年前の御柱祭で木落しを間近で見ましたが、御柱にまたがった氏子の皆さんが35度の急斜面を一気に下る勇壮さは、いまも忘れられません。今回の木落しは、氏子の皆さんの感染拡大防止のため、残念ながら1200年の歴史で初めて中止となりました。でも、御柱祭を開催して下さったことに、駅弁好きとしても感謝しなくてはなりません。
それというのも、“7年に一度”の御柱祭に合わせて販売される「駅弁」があるからです。山梨・小淵沢駅を拠点に、諏訪大社上社の最寄り駅・茅野駅の駅弁を手掛けている、丸政が製造する、その名も「御柱祭弁当」(1500円)。2022年も綱を模した紐で結ばれた二段重で、5月1日から小淵沢・茅野両駅で販売が始まりました。この駅弁の掛け紙は、御柱祭を開催した年が入りますので、歴史的な資料の価値もあるのが特徴です。
【おしながき】
・五目ちらし
・鰈の西京焼き
・蒲鉾
・玉子焼き
・煮物(高野豆腐、椎茸、里芋、人参)
・馬肉煮
・野沢菜炒め
・姫筍と山くらげ
・わかさぎの甘露煮
・りんご羊羹
・さくら漬け
二段重ねの折には、彩り華やかな五目ちらしと祭らしいご馳走がたっぷり詰まっています。丸政によると弁当のこだわりは、何と言っても「御柱と綱」に見立てたという姫筍と山くらげ。これに信州ならではの馬肉煮や、諏訪湖らしいわかさぎの甘露煮が加わって、デザートのりんご羊羹まで、存分にご当地のお祭り気分が楽しめます。7年に一度だけ会えるという有難さと、御柱祭が開催された喜びを一緒に噛みしめていただきたい駅弁です。
今回の「御柱祭弁当」は、5月いっぱいまで販売を行い、その後は感染症の流行状況や人出に合わせ、11月ごろまでの販売を予定しているということです(詳しい販売状況は、丸政の公式ツイッターでご確認下さい)。この連休中(5/3~5/5)は上社の里曳き、下社の里曳きは5/14~5/16にかけて行われます。1200年続く伝統行事を、駅弁を通じて体感してみてはいかがでしょうか。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/