駅弁の味を自宅で気軽におにぎりで! 「時空食堂」とは?
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「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
日本最初の駅弁は「おにぎり2個、たくあん2切れ」という説が有力です。近年は4月の駅弁の日に合わせて、全国各社がおにぎり駅弁を販売する取り組みも行われています。一方、コロナ禍の外出自粛によって一気に広まったのが駅弁の通信販売。2年目からは、各社が冷凍駅弁を開発し、全国販売を行うようになりました。そんな冷凍駅弁の新たな動き、「時空食堂」なる冷凍弁当をいただいてみました。
全国各地で運行されている蒸気機関車が牽引する列車。昨年(2022年)は大雨の被害で、長期にわたって運休を強いられた磐越西線も、この春に全線で運転を再開。7月の終わりからは、人気の「SLばんえつ物語号」も、蒸気機関車の検査が済んで、今季の運転が始まります。現在のJR線では多くの列車が電車や気動車による運行になっており、汽車が走る姿は、まるで“時空を超えた”ような景色と言っても過言ではありません。
今年(2023年)5月、「時空食堂」という、新たな冷凍食品のブランドが立ち上がりました。第1弾の商品ラインナップには、全国の駅弁屋さんの食材を活かした「駅弁おにぎり」が、ズラリと並びます。神戸駅弁・淡路屋、加賀温泉駅弁・高野商店、沼津駅弁・桃中軒、小淵沢駅弁・丸政の4社が協力。「ひっぱりだこ飯」「輪島朝市弁当」「鯛めし」「そば屋の天むす」など、全11種のおにぎりが登場しました。
この「時空食堂」を手掛けているのは、広島市に本社を置く株式会社シンギ。この会社は、全国の多くの駅弁屋さんの駅弁容器を手掛けていることで知られています。その一方で、令和3(2021)年には、新たに「プロトン凍結機」を開発し、全国の駅弁各社の「冷凍駅弁」開発に大きな役割を果たしてきました。駅弁おにぎりは、各社解凍時間が異なりますが、概ね500~600Wで1分半~2分程度。自宅で気軽に駅弁の味が楽しめます。
気になるラインナップは、淡路屋が「ひっぱりだこ飯」「すき焼き弁当」「きつねの鶏めし」。高野商店が「輪島朝市弁当(牡蠣飯)」「北陸めぐり(バイ貝の炊き込みご飯)」、「金沢牛おこわ」の3種。桃中軒は「鯛めし」「桜えびめし」の2種。丸政が「そば屋の天むす」「信州八ヶ岳山麓五目釜めし」「信州おとなの牛めし」の3種で、全11種類となっており、1個・390円となっています。
時空食堂のコンセプトは、地方の豊かなおいしさを、最新の冷凍技術でそのまま家庭に届けることだと言います。冷凍駅弁の美味しさのカギは「解凍」にありますが、時空食堂のおにぎりは、時間通りに解凍すれば、駅弁屋さんの作り立ての味が味わえるのが見事。凍結機の販売から商品開発まで一貫してサポートしていることも大きいのかも知れません。今後は、百貨店の催事やギフト、インターネットの通信販売を中心に展開していくそうです。
なお、この「時空食堂」の駅弁おにぎりは、6月28日まで東急田園都市線・二子玉川駅直結の「二子玉川 東急フードショー」(地下1階)に出店しているお店で、1個から購入することも可能です(店頭ではお得なセット販売あり)。担当の方によると、父の日や夏の贈り物としてお求めになった方が多いそう。ちょっぴり贅沢なおにぎりだけに、贈り物や、在宅ワークのご褒美にもよさそうです。コロナ禍を機に広まった冷凍駅弁も、また新たな段階へと進化しています。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/