「駅弁」食べ歩き20年・5000個の放送作家・ライター望月が、自分の足で現地へ足を運びながら名作・新作合わせて、「いま味わうべき駅弁」をご紹介します。
7月15日、東武鉄道の浅草と日光・鬼怒川方面を結ぶ、新しい特急「スペーシアX」がデビューしました。これに合わせて、沿線には「スペーシアX」の車両の形をした新しい駅弁も登場しています。とくに東武日光駅などで販売されている「スペーシアX日光埋蔵金弁当」は売店の開店に合わせて買い求める方も現れるなど、早くも話題沸騰の様子です。
東京・浅草からやって来た東武の新しい特急「スペーシアX」が、日光杉並木に沿って、ラストスパートに入ります。これまでの特急スペーシアの登場から、じつに33年ぶりとなる新しい特急車両のデビュー。特徴的な六角形の窓は横から見ると「X」の文字が連なっているようにも見えるデザインとなっていて、途中ですれ違っただけでも、ワクワクする感じ。この窓枠は、江戸文化の組子や竹編み細工を現代的に取り入れたと言います。
7月の3連休中は、新しい特急の登場に東武日光駅も大盛況。奥日光方面へのバスは長い行列ができていました。「スペーシアX」の運行開始に合わせて、浅草・東武日光の両駅はリニューアル工事が行われました。東武日光駅には待合室に間伐材や栃木県産の石を用いたベンチが新たに設置され、列車待ちの時間も、ゆったりと温もりを感じながら過ごすことができるようになりました。
日光では、駅舎などにたくさんのトンボがピタリと貼りついていました。秋には、いわゆる「赤とんぼ」となるトンボは、ヤゴから成虫になると、平地の暑さを避けて、夏場は標高の高いところへ“避暑”にやって来ると言います。東武日光駅周辺も、東京などに比べれば、少しはカラッとした暑さに感じられて、足を運んだ甲斐があったというもの。これで美味しいかき氷をいただけたら、十分、夏を満喫した気持ちになれますね。
さて、「スペーシアX」の運行開始に先駆けて、7月12日から東武日光駅などに、新しい駅弁が登場しました。その名も「スペーシアX日光埋蔵金弁当」(3000円)と言います。「スペーシアX」の車両の形をした容器が目を引きます。売店の方によると、運行初日は、浅草からの「スペーシアX」初列車が到着する前に完売したそう。連休中の東武日光駅では、朝8時の売店開店と同時に買い求める方が続々と訪れていました。
【おしながき】
・日光鱒寿し(酢飯、鱒、ゆば)
・極上ちらし寿司(酢飯、鱒のでんぶ、椎茸、干瓢、錦糸玉子)
・スペーシアX刻印入り金色ランチスコップ
・スペーシアX刻印入り金色日本刀型ナイフ
・完成されたスペーシアX型弁当箱
ふたを開けると、製造元の日光鱒鮨本舗が誇る2つの箱寿しが登場しました。1つは、「日光鱒寿し」をアレンジし、塩と米酢で丁寧に一本〆した最高級の鱒の背の部分だけを使って、日光の生ゆばを混ぜ合わせたシャリの鱒ずし。もう1つは、駅弁店の職人さんが塩と砂糖だけで手作りしたという、鱒のでんぶを使ったちらし寿司が、彩りよく詰められています。容器だけでなく、しっかりとこだわって作られた鱒ずしに心も満たされます。
日光連山をあとに「スペーシアX」が浅草へ戻っていきます。「スペーシアX日光埋蔵金弁当」は、日光鱒鮨本舗が製造、東武日光、鬼怒川温泉、下今市の各駅売店、道の駅日光街道ニコニコ本陣で販売しています。日光鱒鮨本舗によると、数量限定ではありませんが、1日の製造量、売場への納入個数には限りがあるということです。「スペーシアX」の特急券同様、駅弁も早めにしっかり押さえておいた方が良さそうです。
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連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/