「筋肉」を作り「脂肪」の分解を促進する3つの栄養素 薬学研究者が解説、身体を変える食事術

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薬剤師、薬学研究者の加藤雅俊先生が、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。

「ダイエットに 免疫力アップに 疲労回復に! こう食べれば身体が変わる アミノ酸食事術」(講談社)の著者である加藤先生が、アミノ酸に注目する理由、筋トレやダイエットに効果的な栄養素、薬の研究をしているのに病気になった経験などを語った。

「筋肉」を作り「脂肪」の分解を促進する3つの栄養素 薬学研究者が解説、身体を変える食事術

脳内ホルモン、筋肉、免疫力、美肌……すべて「アミノ酸」がかかわっている

上柳:先生が「アミノ酸」に注目された理由は?

加藤先生:人間の体が「たんぱく質」でできていることは、皆さんご存知だと思いますが、では、たんぱく質は何からできているのか? というと、アミノ酸からできているんです。

しかも、たった20種類のアミノ酸で、いろんなものを組み合わせ、髪の毛とか筋肉とかいろいろと作っているわけです。

上柳:アミノ酸は「脳内ホルモン」「神経伝達物質」「筋肉」を作ったり、「免疫力アップ」「血流促進」「睡眠の質を改善」「美肌」などに効果があるそうですね。

加藤先生:そうです。ですから逆に、何かのアミノ酸が取れていないから、何かの病気になっている可能性もあるのではないか、と考えています。

“プロテインスコア100”の食材は「卵」と「しじみ」

上柳:私たちは食事をすることでアミノ酸を取り込めるわけですが、具体的にどういったものを取ればいいのでしょうか?

加藤先生:まず、私たちの体はたんぱく質でできていて、たんぱく質をどんどん分解し、これ以上分解できないのがアミノ酸です。

アミノ酸は20種類あって、食べ物から入れないと体の中で生成できないアミノ酸(必須アミノ酸)が9種類、よほどの不摂生をしていない限りは体の中である程度作れるアミノ酸が11種類。この20種類をうまく組み合わせ、体は古い細胞を新しい細胞にどんどん生まれ変わらせ、新陳代謝をしています。

私が推奨しているのは「プロテインスコア」で、人間の肌や筋肉を作るために必要な9種類のアミノ酸(必須アミノ酸)の数が十分にあるかを見る指標です。

「プロテインスコア100」の食べ物が2つあり、「卵」と「しじみ」です。体を作るためのすべての材料と、量も入っています。

ちょっと数値は落ちますが、「牛乳」「豚肉」などもプロテインスコア100に近い食べ物です。特に豚肉は「ビタミンB」が多く入っています。「ビタミンB 1」は糖質を分解してエネルギーにしてくれるのですが、これが牛肉の10倍以上入っています。

スタミナ定食というと、牛肉より豚肉の方が多く使われていますが、ご飯の炭水化物をビタミンB1がどんどんエネルギーにしてくれるので、本当に力が出る食事なんです。

上柳:実は栄養学的にも、理にかなった食事なんですね。

「筋肉」を作り「脂肪」の分解を促進する3つの栄養素 薬学研究者が解説、身体を変える食事術

筋トレやダイエットに効果的な3つのアミノ酸「ロイシン」「ヒスチジン」「スレオニン」

加藤先生:ダイエットをされている方がよく「体重を何キロ落としたい」と言われますが、体重が減っていても、筋肉が落ちているだけなんです。

そこで、おすすめするダイエット方法が「筋肉を増やすこと」です。筋肉は脂肪を燃やす工場なので、もっともっと増やしたいわけです。だから逆に、体重を落としたくないわけです。体脂肪だけを落としたい。

上柳:アミノ酸は、ダイエットもサポートしてくれるのだそうですね?

加藤先生:「ロイシン」というアミノ酸があり、これが筋肉を作ってくれます。ジムに通っている方は、きっと馴染みのある名前だと思います。

上柳:ロイシンはどんな食材に入っているのですか?

加藤先生:ロイシンは「肉」と「卵」、赤身の肉に多く含まれています。

先ほども言いましたが、痩せようと思っても、脂肪を燃やす工場がなければ脂肪は取れません。痩せる前に、まずは筋肉を付けてほしいです。そうしないと、一生懸命ジムに行ったり、歩いたり走ったりしても、お腹はぜんぜん引っ込まず、3か月でジムも退会……なんて話もよく聞きます。

まずは頑張って筋肉をつけて、そこから運動すると脂肪が早く落ちていきますよ。

また、「ヒスチジン」というアミノ酸も、ダイエットにすごくいいです。運動をすると、脳から「エネルギーが足りないから脂肪を分解しなさい」という司令が出るのですが、「ヒスチジン」が脂肪の分解を促進します。

上柳:ヒスチジンはどんな食材に入っているのですか?

加藤先生:カツオに「ヒスチジン」というアミノ酸が多く含まれています。

「スレオニン」というアミノ酸もおすすめです。体を鍛えてる人がよく、鶏むね肉を食べていますが、あれはスレオニンが欲しくて食べているんです。

・筋肉を作る「ロイシン」
・脂肪の分解を促進する「ヒスチジン」
・脂肪の蓄積を防ぐ「スレオニン」

こうしたアミノ酸をぜひ、うまく取り入れてみてください。

薬の研究をしているのに病気になった

上柳:先生は、食事と運動と心のケアを通じ、薬に頼らず若々しく健康でいられる方法を研究し始めたそうですね。薬学を勉強したけれど、それだけではなかったことに気付かれたわけですね?

加藤先生:はい。元々、私は製薬会社で研究職に携わっていましたが、「脳に塗る薬はない」ということに気付いたんです。同じ研究室では、薬の研究をしているのに鬱になる方もいて、本末転倒だなと。人間は、心と体の両方のバランスが取れていないと、病気になってしまうんですよね。

上柳:加藤先生の著書には、ご自身の壮絶な体験も書かれており、「いい加減な食事が招いた足切断の危機――」と……。これは一体どういうことですか?

加藤先生:今こうして生きているので笑って言えるんですが、死ぬかと思いました。仕事でかなり忙しくしていたときだったんですが、最初は水虫からだったんです。

上柳:足に水虫が?

加藤先生:はい。『ああ、水虫か』と思って放っておいたら、だんだんひどくなり、赤くなり、それでも放っておいたんです。そうしたら、「さすがに病院に行こう」という状態になったので診てもらったら、「皮膚に穴が空いて骨が見えてるよ」と言われたんです。

上柳:えっ! もう、それは水虫ではないですよね? なぜそんなに悪化したんですか? 菌に対する抵抗力、免疫力がなかったということですかね?

加藤先生:そうなんです。体にも帯状疱疹のようなものができたりしたので、本当にひどかったです。ですが、そこから仕事で忙しくても、運動や食事にきちんと気を使うようになりました。

上柳:薬学の研究をしていたにもかかわらず、そういう風になってしまうことがあるのですね。

加藤先生:医者の不養生じゃないですけど、人のことはよく分かるのに、自分のこととなると『何とかなるだろう』と思っていたんでしょうね。

たんぱく質は、三大栄養素の一つとして人間の筋肉や臓器、皮膚、髪の毛などをつくり、ホルモン調節にも必要な栄養素。

そのたんぱく質は、20種類のアミノ酸から構成されているので、各アミノ酸の役割を知れば、「筋肉をつけたい」「痩せたい」「体調を整えたい」など、叶えたい身体により早くなれるかもしれない。

「筋肉」を作り「脂肪」の分解を促進する3つの栄養素 薬学研究者が解説、身体を変える食事術

薬剤師、薬学研究者の加藤雅俊先生と、上柳昌彦アナウンサーの詳しいトーク内容は、「食は生きる力今朝も元気にいただきます」特設コーナーHP(https://www.1242.com/genki/index.html)から、いつでも聞くことが可能だ。

番組情報

食は生きる力 今朝も元気にいただきます

毎週月曜・金曜 5:25頃

番組HP

「上柳昌彦 あさぼらけ」内で放送中。“食”の重要性を再認識し、「食でつくる健康」を追求し、食が持つ意味を考え、人生を楽しむためのより良い「食べもの」や「食事」の在り方を毎月それらに関わるエキスパートの方をお招きしお話をお伺い致します。
食の研究会HP:https://food.fordays.jp/

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