それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
上柳昌彦あさぼらけ 『あけの語りびと』
宮城県に今年10月1日(日)、新しいマラソン大会が誕生します。
その名も『東北・みやぎ復興マラソン2017』。
そのエントリーの締切が、1ヶ月後の6月30日(金)に近づいています。
この大会のプロデューサーが、仙台放送の井坂光郎(みつろう)さん。
今まで音楽番組やイベントなどをプロデュースしてきましたが、今回のマラソン大会を任され、日々奮闘が続いています。
第一回大会なので、何もかも初めてで、準備や調整、打合せなど、バタバタしていますが、大会名に『復興』を入れたからには、その名に恥じない、本気で復興に役立つマラソンを目指しています。
6年前の東日本大震災で、津波被害の大きかった名取市、岩沼市、亘理(わたり)町がコースで、仙台国際空港近く、岩沼市の沿岸部がスタート地点!
高さ5メートルほどある「かさあげ道路」を南下し、阿武隈川を渡った亘理町荒浜地区で折り返し、太平洋に沿った直線道路を、名取市閖上(ゆりあげ)地区を目指して北上していきます。
津波対策の大きな「防潮堤」が右側に続き、復興が進む「被災地の今」を感じて走ることが出来ます。
さらに、コースは高低差が少なく、平坦なので、初心者のランナーもベテランランナーも走りやすく、好記録が期待できるんです。
井坂さんは、毎日のように道路の復興工事現場に出かけ、作業員に声をかけ、動画や写真を撮って公式フェイスブックにコースの状況を載せています。
物質的な復興は、随分進んでいますが心の復興は、まだまだ…ですから、今回のマラソンは、この心の復興が大きな目的なんです。
かつて人々が住んでいた場所は、ほとんどが更地で、壊れかけた民家が見えても、住居が制限され、そこに人の暮らしはありません。
それでもマラソン大会は交通規制など周辺地域に迷惑をかけます。
井坂さんは事前に10箇所ほどで説明会を開きました。
1万5,000人を想定した大規模マラソンに同意してもらえるか、厳しい質問に答えられるか、井坂さんはそんな不安を持ちつつ、復興マラソンの目的や意義を話し、理解を求めました。
すると驚いたことに、全ての会場で拍手が起こり、こんな声も上がりました。
お兄ちゃん何言ってんだ!俺たちに手伝わせろよ!だってそうだろう、全国からいろんな支援を受けて、俺たちは本当に助けられたし、今こうして笑顔でいられるんだ。
だから、手伝わせろ。
黙って見ていられるわけ、ないだろう。
嬉しい言葉に励まされ、涙がこみ上げてきました。
地元の協力は得られました。
あとは参加者のみ!
現在、宮城県を中心に東北各県からランナーがエントリーしています。
ところが関東から西のランナーが思うように集まりません。
まだ危ないんじゃないかといった風評や、復興は進んでいるんだからもういいんじゃないか、といった声もあります。
でも、それは違うんです!実際に被災地を見て欲しいんです。
この大会が、本当の意味で成功するためには、全国のランナーに走ってもらいたいんですよ。
その際、一緒に「復興マラソンへの想い」を書き込むことができます。
そうして書き込まれたそれを読むたびに、井坂さんは奮い起つそうです。
その中にはこんなコメントもありました…
自宅が流失し、大切な家族3人を亡くしました。
6年が過ぎて、マラソンに挑戦することで、あの日の悔しさをぶつけたいです。
心の復興は一生続きますが、生まれ変わりつつある故郷の景色を見ながら走りたいです。目標タイム:6時間30分。
目標タイム、6時間30分…。これは、この大会の制限時間です。
第一回大会を、絶対に成功させてみせる!
プロデューサー井坂光郎さんは、今日も準備に走り続けます。
大会の特徴のひとつが、制限時間6時間30分。
これは、国内最長クラスの制限時間設定だそうです。
より多くの方に完走してもらいたいという想いから設定されています。「フルマラソン」と、6キロの「ファンラン」は10月1日(日)、
「親子ペアラン」「車いすジョギング」は前日の9月30日(土)に開催です。ランナーのエントリー、ボランティア募集の締切は、6月30日(金)!
『東北・みやぎ復興マラソン2017』について、詳しくは公式ホームページをチェックしてください。
2017年5月31日(水) 上柳昌彦 あさぼらけ あけの語りびと より
朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ
番組情報
眠い朝、辛い朝、元気な朝、、、、それぞれの気持ちをもって朝を迎える皆さん一人一人に その日一日を10%前向きになってもらえるように心がけているトークラジオ