【ライター望月の駅弁膝栗毛】
伊豆で作った旅の思い出をいっぱい乗せて、東京へひた走る特急「スーパービュー踊り子」。
上りの“スーパービュー”は、10号車の普通車指定席が先頭です。
運転席の後ろにある展望席も勿論、ほかの普通車指定席と同じ料金で乗車出来ます。
「スーパービュー踊り子」は、横浜~熱海間ノンストップの列車が多いんですが、午前中の2号は、湯河原、小田原にも停まるので、湯河原・箱根帰りにも使える列車です。
伊豆の賑やかな感じもいいけど、落ち着いた湯の町の雰囲気を楽しみたい方におススメなのが、熱海の1つ手前、「湯河原温泉」です。
万葉の時代から続くという、歴史ある温泉地「湯河原」。
神奈川・静岡県境の千歳川、その上流の藤木川沿いに温泉宿が連なる静かな温泉街です。
鉄道旅的には、湯河原駅が東京駅から99.1kmなので特急料金が少し安いのもいいところ。
せっかく湯河原の温泉に入るなら、湯河原駅前から奥湯河原方面行の路線バスに15分ほど揺られて、「温泉場中央」バス停付近のお湯に入りたいもの。
“昔からの湯河原温泉”と云われる湯元通り周辺には、古いお宿が立ち並びます。
この付近は、ほぼ宿ごとに源泉井戸が見られ、自家源泉を持ったお宿が多いんです。
湯河原では「○○屋」という屋号のお宿が古く、その次が「○○荘」・・・と伺ったことがあります。
訪れた日は、湯元通りの奥にある「源泉 上野屋」に立ち寄ってみました。
コチラは創業三百余年といわれる、湯河原随一の老舗温泉旅館。
「源泉 上野屋」では、日曜~平日の13:30~18:00の間だけ、玄関脇の「六瓢(むびょう)の湯」に立ち寄り湯をすることができます。(1,000円、土曜日・年末年始は不可)
「六瓢の湯」は、桧風呂と御影石風呂の入替制で、伺った日の男湯は御影石風呂。
浴室の扉を開けると湯河原らしい鉱物の匂いがフワッとして、心まで洗われそうな透き通ったお湯が湯端からしずしずと掛け流されていました。
無色透明でもしっかり成分を感じるピュアなお湯に、思わず胸が高鳴ります。
さらに、瓢箪の形をした湯口のまわりには、アートのように付着した析出物が・・・。
この瓢箪にちなんで、「無病」に通じることから「六瓢(むびょう)の湯」と名付けられています。
注がれているお湯は、敷地内にある湯河原第22号源泉から湧出する源泉温度81.3℃、弱アルカリ性のph8.4、成分総計1714mg/kgのナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩泉。
適温に下げられて注がれたお湯に身を委ねれば、体にじんわりじんわり熱さが伝わってきて、たくさん溶け込んだ効能豊かなお湯の成分が体に沁み入っていくようです。
やっぱり湯河原のお湯はイイ!
程なく額に汗を感じて、心地よくなってきたところが、体に無理のない湯上りポイント。
あまり長湯をせず、しっかり温まって、夏の疲れを癒したいものです。
さて、最近の駅弁の流行りに、各社の看板駅弁を折詰1つにギュッとまとめたものがあります。
小田原駅弁からは「東華軒のよくばり弁当」が、2バージョン登場しています。
この日は、「東華軒のよくばり弁当 伝統」(1,250円)をいただきました。
「鯛めし」と「小鯵押寿司」という小田原を代表する伝統駅弁を軸に、釜めしを盛り込んでいます。
包装もそれぞれの掛け紙のデザインを、そのまま4つ集めたものになっていますね。
【お品書き】
・鯛めし(茶飯、鯛おぼろ、梅干し)
・小鯵押寿司
・茶飯、豚肉の味噌漬け、金平、錦糸玉子
・鶏肉のうま煮、人参、こんにゃく、栗甘露煮、うずらの卵、椎茸、筍、きのこ
このような“いいトコどり駅弁”は、普段駅弁と接する機会が少ない方にとっては、量も少ないので、ちょうどいい「お試し駅弁」になっているといえましょう。
伊豆・箱根という観光地を抱えた地域というのも大きいかもしれません。
まだ“駅弁旅ビギナー”というアナタにとっては、駅弁を知るきっかけになってくれるかも!?
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/