【ライター望月の駅弁膝栗毛】
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伊豆急行2100系「リゾート21・キンメ電車」
西日をたっぷり浴びて発車を待つ赤い列車は、伊豆急行2100系電車「リゾート21」。
「リゾート21」は、昭和60(1985)年以来、東伊豆の海岸線を走り続ける看板列車。
しかも、通常は特別料金不要の「普通列車」として活躍しています。
熱海からの伊東線・伊豆急行線を走る多くの普通列車は伊豆急行の車両で運行されており、日中の一部の列車で「リゾート21」に乗車することが出来ます。
(リゾート21)
http://www.izukyu.co.jp/dennsya/r21/index.html
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伊豆急行2100系「リゾート21・キンメ電車」、伊東線・網代~伊豆多賀間
赤い「リゾート21」は、去年(2017年)2月から活躍している、通称「キンメ電車」。
昭和63(1988)年デビューの「リゾート21」3次車に、伊豆ゆかりの「金目鯛」をイメージした装飾を施し、各号車ごとに伊豆の自治体の特産品をPRする列車となりました。
シートにも金目鯛の柄が入る一方、3号車は「キンメダイ博物館」として、従来は広告などがあったスペースなどをメインに、金目鯛の歴史や生態を紹介しています。
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伊東線・伊豆多賀駅付近からの初島
熱海で「リゾート21」の時間帯に当たると、たとえ仕事で伊豆に来ていても嬉しいもの。
先頭車両の展望席はもちろん、海側を向いたシートもありますからね。
伊東線・来宮~伊豆多賀間の長いトンネルを抜けると、パァ~っと視界が開けます。
青い海と沖に浮かぶ初島が飛び込んできて、そこからは、ほぼ休日気分!
陽光に輝く柑橘系の果実も、旅情を誘います。
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鯛どんたく
こんな伊豆らしい景色を「キンメ電車」から眺めながら、鯛ゆかりのちょっと懐かしい駅弁旅が出来たら、一層、休日気分が盛り上がるもの。
そんな願いを叶えてくれそうなのが、伊東駅弁「祇園」の「鯛どんたく」(840円)です。
昔ながらの経木で作られたわっぱに、鯛が大きく描かれためでたい掛け紙が掛けられ、赤い紐で綴じられており、駅弁好きには紐をほどくところから“お祭り気分”なんですよね。
(祇園)
http://gionzushi.jp/
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鯛どんたく
【お品書き】
・味付ご飯(国産米使用、鶏出汁)
・鯛おぼろ
・ホタテ唐揚げ
・椎茸煮
・牛蒡煮
・香の物
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鯛どんたく
面白いのは、鶏出汁の味付ご飯が、おかずの下まで続いているところ。
鯛のそぼろありと無し、両方の味ご飯が楽しめるのが嬉しいところです。
一般的な「鯛めし」というネーミングではなく、オランダ語の休日を意味する「ゾンターク」にちなんで“鯛どんたく”としたところにも、リゾート地・伊豆らしさがあります。
ちなみに伊東は、オランダ東洋遠征隊の航海長としてやって来た三浦按針ゆかりの地。
そんな歴史も思い浮かべながらいただくと、一層味わい深いものです。
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伊豆急行2100系「リゾート21EX・黒船電車」、伊東線・伊豆多賀駅
「リゾート21」にはもう1編成、「黒船電車」があります。
コチラは平成16(2004)年の下田開港150年を記念して生まれた列車。
車内には、下田開港を中心に幕末の歴史などが展示されています。
現在は2代目、平成2(1990)年デビューの4次車「リゾート21EX」がその任を担います。
「赤と黒」、2つのカラーリングが楽しめる「リゾート21」、あなたのお好みはどちら?
連載情報
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ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/