【ライター望月の駅弁膝栗毛】
富士の麓を駆け抜けていく黄色い新幹線、通称「ドクターイエロー」。
正式には923形・新幹線電気軌道総合試験車といいます。
およそ10日に1度の周期で電気設備や軌道などの状態を計測、高速運転を支えます。
運行日時は公表されていないため、見られたらラッキーな列車。
最近では“幸せの黄色い新幹線”として、世代・性別を超えて人気を集めています。
駅弁にも「出逢えたらラッキー」というものがいくつかあります。
中でも、“期間限定”駅弁は、その典型です。
今年で発売開始15周年を迎える沼津駅弁「桃中軒」の看板駅弁「港あじ鮨」は、毎年3月~4月にかけて“春限定バージョン”が登場、包装にも春限定ステッカーが貼られます。
この時期に、沼津・三島周辺に立ち寄った人だけが手に出来る駅弁です。
(お品書き)
・ 賑わい鯵鮨(山葵葉巻きにぎり寿司)
・ にぎり鯵鮨
・ あじわい太巻き鮨
・ 伊豆天城産本山葵
・ 酢漬生姜
見た目はいつもの「港あじ鮨」と同じように見えますが、ちょっぴりいい香りがします。
そのワケは?
よく見ると、にぎり鯵鮨を巻いている葉っぱが、通常より明るい色になっています。
「春限定バージョン」では、ココが桜の葉っぱになっているのです。(通常はしその葉)
ふたを開けた瞬間から、明るい葉の色が目に飛び込んできて、春らしい香りを楽しめます。
自分の座席の周りが、パッ! と「春」になったかのよう。
駅弁で感じる四季というのもアリですよね。
最高時速285kmという高速で走る新幹線に乗りながら、のんびり駅弁をいただいて、四季を感じることが出来るのも、「安全な」運行があってこそ。
その陰には、「ドクターイエロー」の活躍があります。
“幸せの黄色い新幹線”は、新幹線を利用する私たちの幸せを守る新幹線でもあるのです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/