【ライター望月の駅弁膝栗毛】
富士山をバックに黄瀬川(きせがわ)の鉄橋を渡っていく313系電車。
黄瀬川は富士山に源を発し、伊豆半島から北流してくる狩野川(かのがわ)に注ぐ川。
源頼朝は源平合戦の富士川の戦いで、この黄瀬川近くに陣を張り、義経と対面を果たしたとされており、今は八幡神社が祀られ、対面の時に腰かけたとされる対面石があります。
東海道の旅は、日本の歴史を辿る旅でもあります。
そんな東海道沿いの駅弁屋さんが、1年に1回・静岡市内のグランシップに大集合するのが「グランシップトレインフェスタ」。
今年(2018年)は5/19(土)、20(日)の2日間開催され、大いに賑わいました。
沼津を拠点に三島、御殿場の駅弁・駅そばを手掛ける、明治24(1891)年創業の老舗駅弁屋さん「桃中軒」も、もちろん出店しています。
「桃中軒」の最新作は、5月10日から販売されている、おなじみの夏の季節弁当「富士宮涼風便り 富士山、夏景色」(1,000円)です。
「JA富士宮」とのコラボレーションによる、富士宮をテーマにしたこの駅弁も、「一昨年」「去年」に続いてシーズン3に入りました。
桃中軒によると、好評を受け、今シーズンは販売期間をこれまでよりも長くしたそうです。
【お品書き】
(壱の重)
・朝霧ヨーグル豚のキャベツはさみ揚げ マスタード風味
・富士山サーモン(にじます)の南蛮漬け
・落花生(富士宮産)入り 特製ごま豆腐銀餡かけ
・富士の鶏野菜香り蒸し
・夏野菜の玉子焼き
・夏の炊き合わせ(筍、南瓜、人参、昆布、絹さや)(弐の重)
・とうもろこしと枝豆の混ぜご飯 茗荷の香り添え
桃色の綴じ紐をほどくと、二段重ねの折に1つ1つ手の込んだおかずが少しずつ入っていて、優しい味わいが特徴の桃中軒の季節弁当。
今シーズンは、豚肉を「朝霧ヨーグル豚」に変更、キャベツを挟んで揚げたほか、「富士の鶏」を使ったおかずは、ハーブを効かせた野菜香り蒸しに変更されました。
“涼風便り”らしく、富士山麓の風を感じるような、さわやかな口当たりが印象的です。
実は夏の富士山は湿気が多い分、冬と比べると見られる確率はどうしても低くなります。
ただ、夏の登山シーズンにスカッと晴れた晩には、5合目から頂上に向かって、登山者の光(懐中電灯)の列がジグザグと浮かび上がり、幻想的な景色が広がります。
首都圏から富士山を目指す場合、吉田口の方が多いですが、「富士宮口」は歩く時間が短く、登る途中で駿河湾が見えるのも嬉しいもの。
この夏は地元の食材と共に、富士山エリアの旅をじっくり楽しんでみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/