【ライター望月の駅弁膝栗毛】
静岡の初夏の風物詩「グランシップトレインフェスタ2018」が今年も5/19(土)、20(日)の2日間、静岡市内のコンベンション施設「グランシップ」で行われました。
これに合わせて、JR東海373系電車による急行「トレインフェスタ」号も熱海~静岡間(1・4号)、名古屋~東静岡間(2・3号)で運行。
「トレインフェスタ」オリジナルのヘッドマークを掲げて、東海道本線を駆け抜けました。
急行「トレインフェスタ」号の後、少し珍しい顔つきの列車がやって来ました。
コチラは、今年新たに横浜~東静岡間で運行された、快速「静岡トレインフェスタ」号。
来年行われる「静岡デスティネーションキャンペーン(DC)」に先立つプレDC記念として、JR東日本のお座敷車両・485系電車「華」を使用、旅行商品を購入した方が利用できる団体臨時列車として静岡エリアに乗り入れてきました。
様々な臨時列車で“華やかな”雰囲気になった静岡エリアの東海道本線。
「グランシップトレインフェスタ」は、ホビーのまち・静岡で開催されるため、鉄道模型がメイン。
ただ、駅弁的には静岡エリアの駅弁屋さんが一堂に会する1年に1度の機会でもあります。
去年(2017年)からはお隣・神奈川の小田原駅を拠点に、熱海でも駅弁を販売する「東華軒」も参加して、全部で6社のJR系駅弁屋さんが顔を揃えます。
国府津からの「熱海線」が延伸して、熱海駅が開業したのは、大正14(1925)年のこと。
その後、熱海と沼津を結ぶ丹那トンネルが昭和9(1934)年に開通し、御殿場回りだった東海道本線は今のルートとなり、かつてのルートは御殿場線となりました。
熱海と先に繋がったのが小田原ですので、小田原(国府津)の駅弁屋さんが熱海に進出するのは自然な流れですね。
そんな小田原を代表する駅弁の1つ「デラックスこゆるぎ」(950円)も、この日は箱根を越えて静岡まで進出してきました。
(参考:熱海市ホームページ、国鉄構内営業と経営者・坂田俊夫著)
【お品書き】
・茶めし
・玉子そぼろ
・鶏そぼろ
・鮭塩焼き
・蒲鉾
・海老天ぷら
・鶏照り焼き
・煮物(筍、ふき、椎茸)
・大根つぼ漬け
小さい頃、時刻表の欄外に載っている駅弁の中に、「デラックスこゆるぎ」の名を見つけて、「こゆるぎ」とは一体どんな意味なのか不思議に思っていましたが、実は「こゆるぎ」とは、小田原という地名の由来とも云われる西湘地域を示す言葉なんですね。(諸説あり)
その名にふさわしく、小田原名産の梅樽を模した経木の曲げ物もレトロな雰囲気です。
ふたを開けると、東華軒名物の鶏そぼろをはじめ、えび天、鮭の塩焼き、鶏の照焼きなどテッパンのおかずがいっぱい載っていて、東華軒らしい“華”やかな駅弁です。
東華軒によると、昭和46(1971)年から「こゆるぎ茶めし」という駅弁があり、「デラックスこゆるぎ」は昭和59(1984)年に登場した、デラックス版という位置づけの駅弁なんだそう。
最近では催事やスーパーで、「ミニ駅弁 デラックスこゆるぎ」が販売されることもあり、トレインフェスタの会場にも登場、いいアイディアだなと感じました。
催事で廉価な“お試し版”があれば、他の駅弁と一緒に買って、食べ比べたくなるもの。
普段は駅弁に手が出ない方にも、駅弁を手に取ってもらうチャンスになりそうです。
この辺りは、創業130周年の老舗駅弁屋さんならではの取り組みともいえましょう。
これから来週にかけて「トレインフェスタ」の会場で出逢った静岡エリアの駅弁と共に、初夏の東海道を訪ねて行きたいと思います。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/