【ライター望月の駅弁膝栗毛】
休日の朝10時過ぎ、高知駅に入ってきた列車は、土讃線・高知~窪川間で、週末を中心に運行されている、全車指定席の観光列車「志国高知 幕末維新号」。
明治維新150年で開催されている「志国高知 幕末維新博」に合わせて、2017年秋に誕生。
高知発下りが「龍馬立志の巻」、窪川発上りは「日本の夜明けの巻」と銘打たれています。
さらにバージョンアップされた2年目、今回は「龍馬立志の巻」に乗車が叶いました。
「志国高知 幕末維新号」は、キハ32形に準じて生まれたキクハ32形のトロッコ車両と、キハ185形気動車の2両編成が基本ですが、落ち葉が多い秋はこう配区間での空転対策として、キハ185形をもう1両増結した3両編成で運行されています。
車両には坂本龍馬をはじめ、幕末から明治にかけて活躍した人物がズラリ!
トロッコ車両に乗車できるのは、眺望のいい伊野~土佐久礼(とさ・くれ)間で、その他の区間は、キハ185形のリクライニングシートでゆったりとすることが出来ます。
高知駅を発車して約20分、伊野駅での運転停車の間(4分)に、車掌さんの案内放送を受け、トロッコ車両に移動します。
程なく、地元・高知県立伊野商業高校の皆さんが漉いた土佐和紙で出来た「志国幕末維新号」の記念乗車証が配布されました。
裏面にはキクハ32形の先頭部に設置された記念スタンプを押すことが出来ます。
最初の見どころは、何といっても「仁淀川(によどがわ)」。
四国山地・石鎚山に流れを発し、およそ124kmにわたって流れる仁淀川は、「奇跡の清流」とも云われ、その美しさ・透明度は「仁淀ブルー」とも称されます。
もちろん「幕末維新号」もゆっくりと鉄橋を渡ります。
オープンエアのトロッコ車両では、水面を吹き抜ける爽やかな自然の風を感じられます。
土讃線を走る「幕末維新号」は、途中駅・波川(はかわ)から斗賀野(とがの)にかけて、坂本龍馬が脱藩した道に沿って進んでいきます。
沿線ではコスモス畑をバックに、地元の皆さんが幟を振っておもてなし。
東日本エリアでは、八戸線「TOHOKU EMOTION」の大漁旗によるおもてなしが有名ですが、軽トラでやってきた地元の皆さんによる、素朴なおもてなしもまた温かくてイイですよね!
龍馬の志と、高知の皆さんの人情に触れながら、やはりお弁当をいただきたいもの。
高知発の「志国高知 幕末維新号」下り「龍馬立志の巻」では、「仁淀ブルー観光協議会」に乗車4日前までに電話予約すると、車内限定販売の弁当を購入することが出来ます。
その名もズバリ「龍馬のお弁当」(2,000円)は、昨年の運行開始時から販売されています。
代金は弁当との引き換えとなりますので、お釣りの無いようにしておきましょう。
※仁淀ブルー観光協議会(電話:0889-20-9511、受付時間10:00~16:00、土日祝日除く)
【おしながき】
・里芋の青さあんかけ
・トマトの寄せ
・鮎の塩焼き
・蓮根の甘酢漬け
・鯨カツ
・ウツボの唐揚げ
・潤目鰯(うるめいわし)の蒲焼き風
・イカの柚子味噌和え
・川海老うま煮
・筍土佐煮
・鰹の角煮
・豚バラ肉の柚子味噌焼き
・鰻の蒲焼き
・青さ海苔天ぷら
・菜の花のごま和え
・生姜おかかのまぜご飯
・生姜の梅じそ和え巻き寿司
・土佐ジローのだし巻き卵
・フルーツ一品
・さつま芋のレモン煮
高知県土佐市にある「魚菜 稲月(うおな・いなつき)」が製造し、「仁淀ブルー観光協議会」が販売している幕末維新号の「龍馬のお弁当」。
「魚菜 稲月」は、40年以上続く地元の魚屋さん「さかなの森澤」の直営食事処です。
鰹の角煮、鯨カツにウツボの唐揚げをはじめ、土佐のご馳走がたっぷりの二段重ね弁当。
生姜でサッパリした食感のご飯は、南国の強い太陽の下、心地よく食欲をそそられます。
高知から1時間、「志国高知 幕末維新号」最初の停車駅・佐川ではおよそ2分停車。
ココから乗り込んでくるお客さんもいて、車内はさらににぎやかになっていきます。
高知から窪川までおよそ2時間半をかけて運行されるこの列車の車内サービスですが、実は地元の皆さんの活躍が欠かせないものとなっています。
次回は、幕末維新号の新作弁当と共に、地元の皆さんに注目していきます。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/