【ライター望月の駅弁膝栗毛】
長年、東京で暮らしていると、地方に出かけて戻ってくるとき、「東京に帰って来たなぁ」と、感じるポイントが生まれてきます。
私の場合は、北から戻ってくるときは、荒川の橋梁を渡るときであり、西から戻ってくるときは、多摩川の橋梁を渡るとき。
出かけたところが遠いときほど、感慨深いものを感じてしまうものです。
「東京らしさ」とは何かと問われたら、ありとあらゆるものが「何でもそろっていること」、そして、その「クオリティが高いこと」ではないかと思います。
駅弁で言えば、日本ばし大増が製造し、「NRE」が平成14(2002)年から東京駅限定で販売している「東京弁当」(1850円)は、まさにその象徴的な存在。
この10月1日から、平成18(2006)年以来、13年ぶりにリニューアルされています。
【おしながき】
・ご飯 刻み梅
・今半の牛肉たけのこ(浅草)
・魚久のキングサーモン京粕漬(人形町)
・すし玉青木の玉子焼(築地)
・神茂の御蒲鉾(日本橋)
・酒悦のつぼ漬(上野)
・玉木屋の葡萄あさり(新橋)
・日本ばし大増の江戸うま煮(里芋 筍 南瓜 椎茸 蓮根 絹さや 人参 牛蒡)
・肉団子
・金平ごぼう
・舟和の芋ようかん(浅草)
“日本一の駅弁”を目指して作ったとされる「東京弁当」。
お米は、秋田県産の有機認証米「あきたこまち」が使われています。
添付のしおりによれば、有機認証米とは、2年以上農薬、化学肥料を使用しない田んぼで作られたお米で、ほかの田畑からの飛散もないように管理されているとのこと。
冷めてもふんわりもちもちとした食感は、幕の内駅弁にピッタリ。
これもまた、日本中の美味しいものが集まる“東京らしさ”ですね。
見事なテカりを見せる幕の内の基本・焼き魚は、まろやかな味わいが印象的な大正3(1914)年創業、人形町・魚久の「キングサーモン京粕漬」。
このほか、浅草・今半の「牛肉たけのこ」、築地・すし玉青木の 「玉子焼」、日本ばし大増の「江戸うま煮」はそのままに、新橋玉木屋の「葡萄あさり」、上野池之端・酒悦の「つぼ漬」、日本橋・神茂の「御蒲鉾」、浅草・舟和の「芋ようかん」が加わりました。
東京で暮らしていても、毎日のように老舗の味をいただくことはまずありません。
「東京弁当」は東京駅の駅弁のなかでは、少し高めの価格設定ですが、老舗の味を中心に、東京のいいところだけがギュッと詰まった有難い、食べ応えのある駅弁です。
晩秋から初冬にかけての旅はちょっぴり奮発して、新しくなった「東京弁当」と一緒に新幹線に揺られて、ビュンとおでかけしてみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/