【ライター望月の駅弁膝栗毛】
早いもので、来年(2020年)春、金沢開業5周年を迎える北陸新幹線。
途中、大宮・長野・富山に停まる最速の「かがやき」号なら、東京~金沢間は2時間28分、大宮~長野間に至っては1時間を切って、最速56分で結んでしまいます。
特に大宮から50分台というのは、上越新幹線なら湯沢辺り、在来線なら本庄辺りですので、改めて、北陸新幹線によって、首都圏から信州は「近くなった」と実感できるものです。
北陸新幹線が金沢まで開業した平成27(2015)年は、7年に1度の善光寺御開帳の年でもありました。
これを記念して長野駅に登場した二段重ねの駅弁が「信州美彩膳」(1100円)です。
長野を拠点に駅弁をはじめ、給食・社員食堂なども手掛けている「デリクックちくま」が製造、長野駅の新幹線・在来線改札内にある「科の木」で販売されています。
【おしながき】
(一の段)
・五色の串
(緑)信州ポークカツ(塩味)
(黄)長芋磯辺天麩羅
(赤)福味鶏醤油麹漬け
(白)五平餅(胡麻味噌)
(紫)高野豆腐竜田揚げ 醤油豆絡め
・胡麻豆腐のそばの実あんかけ
・こごみ胡麻和え
・西山産はちく竹 木の芽味噌和え
・野沢菜わさび漬け
(二の段)
・酢飯
・玉子焼き
・信州サーモン燻製
・山菜
信州産食材を使って、北陸新幹線、善光寺を通して結ばれる「ご縁」をテーマにした駅弁。
特にメインのおかずとなる五色の串は、御開帳などの際に前立本尊と結ばれる「善の綱」と重ね合わせて表現したと言います。
ご飯は信州サーモンの燻製が載ったちらし寿司となっており、明るい彩りが目を引きます。
善光寺の門前町・長野らしく、胡麻和えなどで精進料理風としながらも、肉や魚のおかずもしっかり使って、現代風の駅弁に仕上げているのが嬉しいもの。
伝統を活かしつつ、いまを表現していくのも、「駅弁」の大事なポイントですよね。
北陸新幹線は今年(2019年)、台風19号の影響で、多くの車両が被害を受けてしまいました。
現在は暫定ダイヤで運行されており、週末を中心に一部列車では大宮~軽井沢間などで大きな混雑がみられることもあります。
「デリクックちくま」によると、善光寺周辺には少しずつお客さんが戻ってきているそう。
一方で、「デリクックちくま」は社屋の被害を免れたこともあり、11月中旬現在も、避難所で生活されているおよそ3000人の方に、毎日食事を届けられているということです。
長野駅で駅弁を買って列車に乗り込むこともまた、いま、大変な思いをされている皆さんへの間接的な応援になると思います。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/