新型コロナに感染した飼い主のペットを無償で預かり&訪問ケア…各地から届く感謝の声

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【ペットと一緒に vol.198】by 臼井京音

新型コロナに感染した飼い主のペットを無償で預かり&訪問ケア…各地から届く感謝の声

ニッポン放送「ペットと一緒に」

新型コロナウイルス感染症に罹患した飼い主のペットを、無償で預かるサービスが4月10日から開始され、利用者から感謝の言葉が届いていると言います。

今回は、この「#StayAnicom」プロジェクトに関わるスタッフの思いや飼い主の声をお伝えします。

 

飼い主みんなの不安を安心へ

ペット保険のアニコム損保をはじめとするアニコムグループの社員の多くは、ペットと一緒に暮らしていると言います。

「新型コロナウイルスが蔓延するなか、アニコムで何ができるか考えようという動きが生まれました。まずは、正確な情報を飼い主さん向けに発信したところ、『もし自分が新型コロナウイルス感染症にかかってしまったら、ペットをどこに預けたらいいかわからなくて不安』というコメントが数多く寄せられました。私もトイ・プードルと暮らしていますが、社員同士の話でも同じように不安に思っている人が多くいました」と、広報担当の塩澤さん。

新型コロナに感染した飼い主のペットを無償で預かり&訪問ケア…各地から届く感謝の声

筆者も新型コロナに罹患したら、愛犬(15歳と11歳のノーリッチ・テリア)の預け先をどうするか悩んでいました

そこで誕生したのが、新型コロナに感染してしまった飼い主のペットを無償で預かり、アニコムの獣医師を中心とした社員有志が世話をする「#StayAnicom」プロジェクトです。

「アニコムのペット保険に加入していない方でも、Web専用の申込フォームからご登録いただければご利用いただけます。新型コロナに関係する状況下では、助け合いが欠かせません。アニコムでは困っている飼い主さんの力になりたいと思い、このプロジェクトに取り組んでいます」と、塩澤さんは語ります。

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千葉県にある#StayAnicom預かり施設までは家族などが送るか、相談に応じてアニコムスタッフが迎えに行きます

ストレスなく過ごしてもらうために

プロジェクトがスタートしてから2020年5月21日までの間に、犬8頭と猫5頭を、千葉県にあるアニコムが用意した専用施設で預かったそうです。

「ある飼い主さんは、電話口で泣かれていました。『愛犬のことが心配でしたが、これで安心して自分の治療に専念できます。ありがとうございます』と」(塩澤さん)

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預かり施設に到着したら、まずは健康チェックと検査から

施設に到着したペットは、獣医師による健康チェックを受けたのち、新型コロナウイルスPCR検査も受けます。検査結果が陰性であれば、待機部屋から大部屋内の、ベッドやトイレが設置されたサークル内に移動。1日2~3回は大部屋に出て運動をしたり、スタッフと遊んだりするそうです。

「普段は病気のどうぶつさんを見ている獣医師や動物看護師ですから、健康で元気なペットたちと触れ合うことに対して『うれしいけれど、複雑な気持ち』と語っています。飼い主さんと離れて寂しい思いをしているペットたちの名前をやさしく呼び、緊張してごはんを食べないコにはスタッフが手から与えたりしています。それでも食べないコには、ササミを茹でてトッピングしたりして、何とか自宅と同じようにストレスなく過ごしてもらえるように工夫をしています」(塩澤さん)

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アニコムのスタッフによる預かりペットとの触れ合いの1コマ

涙の再会

ある飼い主さんは、以下のようなコメントを寄せているそうです。

「近況報告と写真を送ってくださってありがとうございます。PCR検査等もしていただき、結果陰性とわかり本当に安心いたしました。この子たちにうつっていたら……と、いろいろなことを思い返しては後悔していましたので、本当に安心いたしました」

預かりから1週間後のPCR検査で再び陰性であれば、アニコムグループが運営する動物病院に移動をして、屋外での散歩もスタートすると言います。大喜びで散歩をしているワンちゃんの笑顔を見ると、動物病院のスタッフも毎回笑顔になるそうです。

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久しぶりの散歩を楽しむ預かり犬の様子

5月半ば過ぎ、2週間以上にわたり預かっていたシロちゃん(仮名)が、無事に退院した飼い主さんと自宅への帰路につきました。

動物病院に迎えに来た飼い主さんの姿を見るやいなや、シロちゃんはダッシュで飼い主さんのもとへ。そばにくっついて甘え始めたシロちゃんを見ていたスタッフは「よかったね~」と口を揃え、目には涙があふれたそうです。

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飼い主さんとの再会を喜ぶシロちゃん(仮名)

自宅へ訪問してのペットケアも開始

アニコムには、ミーアキャットと暮らしている獣医師もいます。

「環境の変化になじめず、ストレスを抱えやすいタイプのペットと暮らす飼い主さんも少なくないでしょう。そういったペットには、自宅でのお世話のほうが安心だろうという声が社内からも上がり、5月15日からは、#StayAnicom 訪問ペットケアの全国展開を始めました」(塩澤さん)

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猫は施設預かりと訪問ケアと両方のケースでの利用が見込まれています

ミーアキャット、ウサギ、ハムスター、フェレット、ハリネズミ、鳥、爬虫類などの他、飼い主さんの要望や相談によって猫や犬も訪問ケアを受けられるそうです。

「訪問ペットケアを開始してすぐ、ハムスターの飼い主さんからの依頼がありました。新型コロナウイルスが陽性とわかり急に入院が決まったため、飼い主さんはペットの預け先が見つからずに途方に暮れていたとのこと。電話でお世話方法についても詳細にうかがい、クルーが感染しないように入念な準備をして、飼い主さんのご自宅へ。

換気を行いながら、2人1組でハムスターのお世話をしました。ごはんを用意すると、すぐにチャムちゃん(仮名)は姿を見せてくれ、モグモグ。その後、元気に砂浴びもしてくれたそうで、スタッフもほっとしていました」(塩澤さん)

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ハムスターの訪問ケアの様子

数日後、チャムちゃんの便を採取して行ったPCR検査の結果で、新型コロナウイルス陰性だと判明。報告を受けた飼い主さんも、一安心していたそうです。

もちろん、スタッフみんなも安心して笑顔になったのは、言うまでもありません。

■ #StayAnicomプロジェクト ペットお預かり・訪問ペットケア希望者用フォーム
https://service.anicom.co.jp/form/pub/anicompr/stayanicom

連載情報

ペットと一緒に

ペットにまつわる様々な雑学やエピソードを紹介していきます!

著者:臼井京音
ドッグライターとして20年以上、日本や世界の犬事情を取材。小学生時代からの愛読誌『愛犬の友』をはじめ、新聞、週刊誌、書籍、ペット専門誌、Web媒体等で執筆活動を行う。30歳を過ぎてオーストラリアで犬の行動カウンセリングを学び、2007~2017年まで東京都中央区で「犬の幼稚園Urban Paws」も運営。主な著書は『室内犬の気持ちがわかる本』、タイの小島の犬のモノクロ写真集『うみいぬ』。かつてはヨークシャー・テリア、現在はノーリッチ・テリア2頭と暮らす。東京都中央区の動物との共生推進員。

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