梅の味がする絶品メンチカツ~土曜日しか食べられないのはなぜ?
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それぞれの朝は、それぞれの物語を連れてやってきます。
何の名物もない、何の特長もない、どこにでもある商店街……そんな商店街の「メンチカツ」が、なぜか人気を呼んでいます。
普通のメンチカツと比べると平べったくて、少し大きめ。値段は税込150円。注文を受けてから揚げるのでサクサクと歯応えがよく、アツアツの肉汁が口のなかにあふれます。ひと口、ふた口、食べて行くと、(うん? ちょっと甘酸っぱい)…梅の味がするメンチカツなのです。
梅入りのメンチカツが、なぜ人気なのか……。それは、「土曜日しか食べられないメンチカツ」だからなのです。
お店は埼玉県川口市の、前川中央商店会のなかにあります。最寄り駅は、JR京浜東北線「蕨(わらび)駅」……東口から、散歩がてらトコトコ歩くと30分ほどかかります。前川4丁目の交差点を過ぎたあたりに、「前川メンチ」の、のぼり旗がパタパタとはためいています。
ようやく食べられると思ったら、「あれ? やってない!」ということも……。基本、土曜日のみの営業ですが、但し不定期休業もあるそうです。
このメンチのお店は、前川中央商店会が運営しています。会長の岩谷三郎さんが中心となり、かつて商店街でお店を開いていた方たちが、ボランティアで接客し、注文を受け、メンチを揚げて販売しています。
「かつて、この商店会には120の店舗が加盟していたんですが、いまは50店舗ほどに減ってしまいました。大型ショッピングモールが近くにできて、車に乗って買い物に行くので、歩道を歩く人がめっきりと減ってしまいましたね。そこで商店街に客足が戻るように『何か名物を作ろう』となったんです」
以前、お惣菜屋さんが「前川メンチ」と名付けて売っていました。語呂がいいのと、そのメンチを製造する冷凍食品会社が商店街にあることから、これを看板商品にしてみようと思い立ちます。
岩谷さんは和歌山の出身で、梅干し専門店「五十和(いそわ)」というお店を営んでいます。梅とお肉の相性がいいことを知っていた岩谷さん、紀州南高梅を使った、塩分少なめの「あまい梅」をメンチに練り込んで揚げてみると……「お、これ、旨いよ!」と試食の評判がいい。梅の甘酸っぱさに、みんなの顔が、梅の花が咲いたようにパッとほころびました。
こうして、コンビニでもスーパーでも売っていないオリジナル商品、『前川メンチあまい梅』が誕生しました。
「いまだから言いますけどね、私、メンチカツが苦手なんですよ。肉汁の、あの脂の匂いが鼻についてね。梅を入れたことでお肉の臭みが消えて、メンチが苦手な私でも『これは、いける!』と思いましたね」
商店街のお祭りやイベントで「前川メンチ」を出すと売れ行きがいい。埼玉のB級グルメ大会では、2,000個が売れました。手応えを感じた岩谷さんは、商店街のアンテナショップとして、2015年9月に「前川メンチの店」を開きました。
ほとんどのお客さんは車で買いに来ます。お客さんに話を聞くと、
「仕事の行き帰り、のぼり旗が気になっていたんですけど、いつも休みなんですよね。よく見たら土曜日だけ! 気になって気になって、やっときょう、食べることができました!」
なかには「先週来たら休みだったじゃない!」と、おかんむりのお客さんも……。でも、アツアツのメンチが揚がると笑顔に戻ります。お店に用意された椅子に座って食べて行くお客さんもいます。
「あ、お客さん、慌ててかぶりついちゃダメだよ。ヤケドするから。ゆっくり味わって、帰りは商店街をちょっとのぞいてみてね!」
「前川メンチの店」
〒333-0842 埼玉県川口市前川3-9-15
■「前川メンチあまい梅」150円(税込)
(梅肉入りだけでなく、キャベツやチーズ入りのメンチもあります)
■「前川メンチバーガー」350円(税込)営業:土曜日のみの営業で、午前11時〜午後6時
※都合により土曜日が休みになることもあります。
3月の営業予定日は、9日、16日、23日、30日。
※3月2日の土曜日は、川口市の商店街の集まりがあるのでお休みです。詳しくは、フェイスブックから営業日をご確認してください。
https://www.facebook.com/maekawamenti/
上柳昌彦 あさぼらけ
FM93AM1242ニッポン放送 月曜 5:00-6:00 火-金 4:30-6:00
朗読BGM作曲・演奏 森丘ヒロキ
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