【ライター望月の駅弁膝栗毛】
長野県のしなの鉄道・豊野から千曲川~信濃川伝いに、飯山、戸狩野沢温泉、森宮野原、津南、十日町を経由して、上越線の越後川口を結ぶJR飯山線。
豪雪地帯を走る路線ということもあり、例年この時期は、日中の列車のダイヤを変更して、除雪作業が行われたりしますが、今季、雪があるのは山のほうだけ。
冬の雪が商売に直結する方には、チョット辛い日々が続きます。
飯山線を走る赤い車両は普段、週末を中心に観光列車の「おいこっと」として活躍しているキハ110系気動車で、通常は普通列車として走ることもあります。
「おいこっと」とは、「TOKYO(東京)」を逆さ読みして生まれた愛称。
数年前は、「冬のおいこっと」として長野~戸狩野沢温泉間で運行されたこともありましたが、今季は2月1日・2日に「雪のおいこっと」として、長野~十日町間で運行が予定されています。
飯山線の列車は、一部が上越線・長岡まで直通運転しています。
この長岡市と十日町市で出土した縄文土器には「火焔型土器」と呼ばれるものがあります。十日町市の笹山遺跡から発掘された火焔型土器には、縄文土器として初めて、新潟県でも初めての「国宝」に指定されたものがあるんですね。
そんな国宝ゆかりの駅弁と言えば、長岡駅「池田屋」の「火焔釜めし」(950円)です。
(参考)十日町市観光協会ホームページ
【おしながき】
・醤油ごはん
・鮭の塩焼き
・蒲鉾
・玉子焼き
・牛肉醤油煮
・山菜醤油漬け
・きんぴらごぼう
・椎茸煮
・煮豆
・しば漬け
火焔型土器が描かれた昔ながらの掛け紙を外すと、具だくさんの釜めし風ご飯が登場!
焼き鮭、玉子焼き、蒲鉾と、幕の内の三種の神器を押さえた“幕の内系釜めし”です。
ベースとなる醤油ごはんは、アツアツの段階で醤油を混ぜ込んでいくと言います。
「池田屋」によると、先代のご主人が醤油の炊き込みご飯と、炊き上げてから醤油を混ぜたご飯の香りを比べると、“あと混ぜ”のほうが食べるときに具材との相性がよかったのだそう。
“渋めの駅弁”1つ1つにも、じつは「隠れたこだわり」があるのです。
越後川口を出た飯山線の列車は、程なく上越線と別れ、信濃川の支流・魚野川を渡って、十日町方面へ向かいます。
十日町、戸狩野沢温泉などで乗り換えながら、長岡~長野間を乗り通していくと、3時間半~4時間程度ののんびり旅。
反対列車との行き違いや途中駅の長時間停車も楽しみたいローカル線の旅です。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/