【ライター望月の駅弁膝栗毛】
きょうから6月30日までの3ヵ月間、静岡県でJRグループと地元自治体が協力した観光キャンペーン「静岡デスティネーションキャンペーン(静岡DC)」が行われます。
これに先駆けて昨日(3/31)、普段は特急「踊り子」などで活躍している185系電車による団体臨時列車「静岡DCオープニング号」が、東京~静岡間で運行されました。
あいにく富士山は雲に隠れてしまいましたが、普段は日中、三島以西には185系電車が来ないため、沿線には珍しい風景をカメラに収めようと多くのファンが詰めかけました。
「踊り子」が毎日やって来る伊東駅も、静岡DCに合わせてリニューアルされました。
昭和13(1938)年の開業時からの駅舎はそのまま、当時を再現する形で二重天井が取り払われ、高い吹き抜けのある、明るく開放的な改札口となりました。
列車を降りて改札を通ると、ウッディな癒される香り。
湯の街の玄関にふさわしい、癒しの雰囲気が感じられます。
伊東駅の駅弁屋さん「祇園」も、駅のリニューアルに合わせて販売場所が移転。
3月29日から、少し改札口に近い場所に作られた新店舗で営業が始まりました。
従来通り、1番線ホームからの駅弁購入も可能。
駅弁に加え、伊東ならではのお菓子、下田産のみかん蜂蜜や西伊豆のしおかつお商品など、“オール伊豆”の厳選された土産物も店頭に並ぶようになりました。
また、お店の前が飲食可能な休憩所となり、列車の待ち時間が長いときは、駅弁を買って休憩所でいただくこともできるようになっています。
祇園“名物”の1つ、伊豆のぐり茶が入った「ポリ茶瓶」は、新店舗でも健在!
スグに飲みたいときは、お湯を入れてくれるサービスもそのままです。
元々、駅弁屋さんのお茶は「汽車土瓶」と云われる陶器製の土瓶が主流でしたが、昭和のなかごろにこの「ポリ茶瓶」が登場、昭和の終わり頃からペットボトルへと移行しました。
いまとなっては、東京から最も近い“ポリ茶瓶”のある駅弁屋さんと思われます。
新店舗オープンに先立つ3月21日、伊東駅の駅弁は誕生60周年を迎えました。
昭和21(1946)年から伊東温泉で販売されていた祇園の「いなり寿し」が、「駅弁」として駅構内で販売されるようになって、今年(2019年)で60年。
「いなり寿し」が駅弁としての“還暦”を迎えたタイミングで新店舗のオープンとなった訳で、まさに新しい時代のスタートと共に、伊東駅弁の新時代が始まりました。
揚げがたっぷりの煮汁を吸い込んで、ジュワっとした食感が自慢の「いなり寿し」。
火山と温泉の半島・伊豆ならではの美味しい水をベースに、日本有数の温泉街によって育まれてきた定番の味は、新しいお店になってもそのままで、ホッとひと安心。
何度いただいてもまた食べたくなる、祇園の「いなり寿し」。
駅弁として60年、伊東の味として70年以上続くロングセラーの実力を、ぜひ1度、自分自身の舌で堪能していただきたいと思います。
3月29日の新店舗オープンから3日間、伊東駅弁を購入した方にプレゼントされたのは、「いなり寿し」の掛け紙がデザインされた「いなり寿しクリアファイル」。
“祇園の駅弁60th”のシンボルマークが入ったメモリアルなグッズです。
「祇園」によると、好評につき、今後は販売も予定しているそうで、静岡県内で行われる鉄道イベントなどでも出逢えるかも…ということでした。
いよいよ開幕した「静岡デスティネーションキャンペーン」。
期間中、静岡県内のJR線では臨時列車の運行やイベントなどが予定されています。
特急「スーパービュー踊り子」号が走る伊東線・伊豆急行線沿線も、ちょうど桜が見ごろ。
この春は、静岡の鉄道旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
今週は、静岡県内の各駅の駅弁を、ご紹介してまいります。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/