【ライター望月の駅弁膝栗毛】
小田原の街をバックに、東海道本線を下って行く185系電車の特急「踊り子」号。
車窓に広がる相模湾は、駿河湾・富山湾と並ぶ日本三大深湾の1つとされています。
特に小田原以西は急深の海岸となっており、深いところでは水深1000mにも及びます。
このため早川漁港をはじめ、相模湾沿いの漁港では鯵・鯖などの沿岸の魚に加え、黒潮に乗ってくる魚、深海魚まで約1300種の魚が獲れ、約300種が食べられると言います。
(参考)神奈川県ホームページ
そんな相模湾で獲れる深海魚の一種で、“小田原のソウルフード”、“白身魚の大トロ”とも称される「あぶらぼうず」が駅弁として登場しています。
小田原駅弁「東華軒」が製造する、その名も「あぶらぼうず伝説」(1300円)。
今年(2019年)夏、東京駅の「駅弁屋 祭」で開催された新作駅弁フェアで登場。
好評を博したことから、晴れてレギュラー駅弁に昇格したそうです。
【おしながき】
・茶飯
・あぶらぼうず味噌ゆう庵焼き
・錦糸玉子
・酢蓮根
・梅干し
・みぶ菜とわさびの醤油漬け
・きくらげの佃煮
・枝豆入りひじき煮
・香の物
深海魚らしく、いっぱいの脂をため込んだ濃厚な味わいが特徴の「あぶらぼうず」。
昔から小田原には、この魚の脂の多さゆえに、お殿様が女中に毒見を押し付けたことから、“おしつけ”と呼ばれてきたとされる伝説があるのだそう。
味噌柚庵焼きに仕上げたことで、脂を活かしながらも、サッパリとした味わいが楽しめます。
「東華軒」によると、「あぶらぼうず」は金目鯛と同じ深海に生息しており、一緒に網にかかるため、各種駅弁に登場している金目鯛と一緒に仕入れることができると言います。
濃いめの味が好まれる現代ならではの魚駅弁、「あぶらぼうず伝説」。
前回紹介の「釜揚げしらすとじゃこのお楽しみ弁当」と合わせて、現在開催されている「駅弁味の陣2019」にも出陣中です。
遠くに伊豆大島を望みながら、相模湾に沿って東海道を上って行く「踊り子」号。
その豊かな海の幸を思い浮かべていただくには、ピッタリの駅弁です
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/