【ライター望月の駅弁膝栗毛】
福岡・小倉から大分・宮崎と九州の東海岸を通って、鹿児島の間を結ぶ日豊本線。
JR初期までは特急「にちりん」が、博多から8時間以上かけて全線走破していましたが、現在は(博多)小倉~大分間が「ソニック」、大分~宮崎間が「にちりん」、宮崎~鹿児島(中央)間が「きりしま」の各列車に系統分割されています。
途中の西都城駅からは、国鉄末期まで大隅半島方面へ志布志線が分岐していました。
(参考)国鉄監修・交通公社の時刻表(1987年3月号)
私自身が「都城」という地名を最初に憶えたのは、小さい頃に読んだ鉄道の本でした。
本には当時、東京~西鹿児島間を日豊本線経由で運行していた寝台特急「富士」の旅のレポートが載っており、終点・西鹿児島(現・鹿児島中央)までは、じつに24時間以上。
丸1日を1つの列車で過ごすとはどんなものか、大いに旅心がくすぐられたものです。
「富士」は後に宮崎(南宮崎)・大分と短縮され、平成21(2009)年に廃止されました。
列車は変わりながら、西都城駅前でいまも駅弁を作り続けているのが「せとやま弁当」。
平成29(2017年)の「第12回九州駅弁グランプリ」では見事グランプリを獲得した、昭和23(1948)年創業の駅弁屋さんで、じつは「通信販売」もやっています。
「駅弁の通信販売を楽しもう!」シリーズ・第7弾は、この「せとやま弁当」をご紹介!
日豊本線ののどかな車窓を思い浮かべながら、ウェブサイトへアクセスしました。
トップページから「ネット販売メニュー」のリンクをクリック(タップ)すると、名物のかしわめしを通販仕様とした「地方発送用かしわめし(冷凍)1セット4個入り」(2592円)が登場。
「ご注文はこちら」をクリック(タップ)することで、せとやま弁当の通販サイトへ移ります。
大きな「かしわめし」の画像をクリック(タップ)していくと、「ADD TO CART(カートに入れる)」のバナーが表示されますので、これをクリック(タップ)して注文します。
現在、「せとやま弁当」の通信販売商品は、「かしわめし(冷凍4個入り)」と、「とりそぼろふりかけ」(400円)の2種類。
注文が終わったら「レジへ進む」をクリック(タップ)して、氏名・住所・連絡先などを入力。
支払方法は「代金引換」(手数料330円)のみで、首都圏の配送料は1485円です。
「購入手続きは完了いたしました」の画面が出たら、注文完了です。
注文から1週間、我が家にせとやま弁当からの冷凍便が到着しました。
段ボールにも、オレンジの「かしわめし」のステッカーが貼られているのが嬉しいですね。
「せとやま弁当」によると、通信販売は、平成20(2008)年から行っているのだそう。
地元の皆さんからの、「都会で暮らす子供・孫たちにふるさとの味を送りたい」という声に応えて、輸送に耐えられるように「かしわめし」を冷凍化したということです。
密封包装されていますが、いつもの「かしわめし」(760円)と同じ、「九州駅弁」のロゴが入った掛け紙がかけられていて、木の折が使われているのがとても嬉しい!
冷凍版のかしわめしは、通常の「かしわめし」と比べて、少し小ぶりになっていて、ご飯少なめ、1回食べきりサイズの全250gに抑えられています。
これは家庭用冷凍庫に収納しやすい大きさにしたためで、賞味期限は1ヵ月です。
解凍方法は、掛け紙に貼られたシールの他、別紙でも同封されています。
まず、冷凍のまま袋の封を開け、掛け紙・ふたを外して、市販のラップで覆います。
電子レンジでは、500Wは4分程度、700Wは3分程度加熱します。
お好みで水を少し霧吹きすると、よりふっくらして、美味しく食べられるそう。
温まってくると、我が家に炊き込みご飯のいい匂いが漂い始めます。
【おしながき】
・炊き込みご飯(宮崎県産米使用) 人参
・鶏肉
・錦糸玉子
・梅干し
・グリーンピース
・海苔
アツアツの折に注意しながらラップを外すと、鶏肉と海苔のいい香り!
付添のスプーンを入れると、驚くほどフワッフワの食感のご飯がたまりません。
「せとやま弁当」によると、通常の駅弁と冷凍版でご飯の炊き方は変えていないとのこと。
ただ、通常版は保存性から冷まして折に詰めていますが、冷凍版はスグ凍らせるため、解凍すると「炊きたてのご飯の味」が楽しめるのでは…と言います。
定番駅弁にも、このような再発見があるから、通販駅弁も「楽しい」ひとときなんです。
西都城駅弁「せとやま弁当」の「かしわめし」は、昭和30(1955)年発売ですので、今年(2020年)で発売から65年の節目を迎えました。
外出自粛のなかで、首都圏からの通販が増え、遠く北海道からの注文もあったそうです。
この機会に鶏肉の本場、宮崎・都城で親から子・孫と受け継がれているソウルフードを、通信販売で体感してみてはいかがでしょうか。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/